本日は【place by awo】に居ながら、心だけヴァーチャル旅行中。
ガタゴトと進む鉄道に乗ってロシアを横断している(つもり)。
というのも、読んでいるのが『女三人のシベリア鉄道』だからです。
タイトルにある女三人というのは、与謝野晶子、中条百合子、林芙美子で、
いずれも近代文学にでかい功績を残した人たち。
でもそこに、現代を生きる著者の森まゆみと、
通訳として同行したベロゼルツェワ・アリョーナという聡明な学生も入ってきて、
さらに旅先で出合ういろいろな人たちの人間模様も絡み合うなど、
えらく多重構造的。
ぼーっと読んでいると、あれっ誰の話が進んでいるんだっけ? と、
しばし頭がこんがらがります。
そういえば、Öがこれまで経験してきた寝台列車の旅といえば、
インドとスペインくらい……だったかな(記憶曖昧)?
何年も前に体験したその”移動するホテル”という独特の空間と
たまたま居合わせた乗客同士のふしぎな距離感、
そして夜、遠くに人家の灯が見えるたびに感じる奇妙な切なさとか、
そういうものが思い出されて、
ページが進むたびに「むうう」とひとり、変な声をあげたりしてます。
そうやって読んでいるうちに思い出したのは、
つい先日【Bookish Pub】に来てくれたMさんのこと。
とあるお堅い職場で働く彼から
「ボクはアジアに旅行するのが好きで」という発言が何気なく飛び出したことで、
一気に精神的な距離感が縮まりました。
「飛行機に乗る時は偏西風の向きを考える」とか
「必ず日没・日の出が見られる位置に席をとる」というマニアックな話も飛び出し、
「ああ、人って人なんだな」という、何とも言葉にしづらい感情が生まれます。
それまで、その堅い職場の印象から、勝手に
「無味乾燥な人」と決めつけていたらしい自分が、悲しく腹立たしい。
……あれ、全然本の話と違うところに着地してしまいました。
まあたまには脱線もいいものです。
旅に目的地なんていらないんだから。
本、興味のある人はぜひどうぞ(というシメで、何となくごまかしてみます)。(Ö)