2023-02-22

マリー・ローランサンとモード@Bunkamura ザ・ミュージアム

先日、東京美術刊のローランサン本についてお知らせしましたが、現在、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは、ローランサンと同時代のパリモードにフォーカスした展覧会が開催中です。


書籍でも紹介した作品もたくさん出ていますが、本物を近距離で見られる感慨〜。繊細さと大胆さが同居する筆致にマリーの人柄をみたり。


展覧会には、当時のパリモードがどんな人たちに牽引されていたかなど、興味深い資料も多々見られます。同じくあをぐみが手がけた東京美術刊のシャネル本に詳細が記されていますが、ギャルソンヌと呼ばれる颯爽とした女性たちが、人々を街をそして社会を振り向かせていた時代。


マリーもまたファッションに大いに興味があった人で、シャネルの店の顧客だったし、“モードのスルタン(王様)”と呼ばれたポール・ポワレの妹(彼女もデザイナー)は大親友。自身でバレエの衣装デザインもしました(これがまた、見事に絵画作品のイメージどおり)。


初日には『もっとローランサン』本の著者で、マリー・ローランサン美術館館長の吉澤さん(中央)が、マリーの紹介をしていました。奥にいらっしゃるのは、同展のファッション監修をした成実弘至さん。お二人の話が相互に補い合い、当時のパリが立体的に見えてきた気がします。


そうそう、ミュージアムショップではカタログとともに、我らが『もっとローランサン』も販売されています。


おー、『もっとシャネル』もある。


この展覧会がおわると、Bunkamura ザ・ミュージアムは長期休館に入ります。もうすでに東急百貨店本店もクローズしていたし、これでまた渋谷の街並みが変わることになるわけです。楽しみなような寂しいような。


会期は4月9日まで。(ö)


追記:あの人もローランサン展、応援してくれているみたいです。

2023-02-17

もっと知りたいローランサン

あをぐみが編集とエディトリアルデザインを担当した『もっと知りたいローランサン』(東京美術刊)が発売中です。



昨年担当した『もっと知りたいシャネルと20世紀モード』に続いて、シャネルと同じ年に生まれ、同じ街(パリ)で大きく活躍した女性画家、ローランサンを手掛けることができたのは、とても幸運でした。ここのところ、20世紀はじめに活躍した女性たちが取りあげられる機会が増えているのは、「いま、この時代だからこそ」の大きな流れがあるように感じます。


ふわっとした印象の絵が多いので、ほっこりした画家のように思われていそうですが、彼女の言動を紐解くとむしろ「カッコいい!」とさえ感じます。そして同時にユーモアにもあふれてる。

同時代や後進の画家、作家たちに大きな影響を与えたのは、その独特な絵画表現によるものだけではなく、ローランサン自身の人柄も大きいのかも。


現在、東京・Bunkamura では「マリー・ローランサンとモード 」展も開催中。本書をガイドブックとして携えつつ足を運んで、彼女の絵とその時代の空気をも、楽しんでみてはいかがでしょう。(äwö)

2023-02-14

カーサブルータス(WEB)の余談

松本市内で現在開催中の「マツモト建築芸術祭2023」(〜2月26日)。

あをぐみöが取材した記事がウェブ版のカーサブルータスで見られるので、ぜひご覧ください。


記事では紹介していない“追記”を少々こちらにて。


各作家さんの作品が見どころなのはもちろんですが、その器たる建築そのものの解像度が、作品が入ることで高まること……それもこの芸術祭の真骨頂かと思いました。


たとえば、記事でもご紹介した〈割烹 松本館〉 。


その大広間は、何も展示されていなくてもしつらえだけで圧巻なのですが、福井江太郎のダチョウが入ったことで、天井の鶴までもが生命感をもって迫ってくる。鳥同士で呼び合っているんですかねえ。


展示とはカンケーないけど、1階には「節分」のディスプレイがされていて、それもまた楽しく目を引きました。季節感を大事にする料亭の心くばりが素敵です。


こちらはもともと洋裁店だった六九町の〈旧油三洋裁店〉で見られる、ヨーガン・アクセルバル + amachi.の展示。

廃墟同然だった建てものの解像度が展示でググッとあがり、止まっていた物語が息を吹き返したように思えます。


洋裁店だった頃の名残が、いい感じに展示内容とつながっているし。


こちらは記事では紹介していませんが、止まっていた物語が今とつながる例として、〈上土シネマ〉での河合政之さんの展示もいい。


写真は本人パフォーマンスのものですが、通常の展示では、2階のスクリーンに色と音だけの映像が延々と流れています。


作家本人の意図とは違うöの個人的見解ですが、ボーッと色だけの映像をみていると、この映画館が閉館までずっと流してきた歴代の映画が渾然と凝縮して流れているかのような錯覚にとらわれ、ちょっと感傷的にもなりました。


芸術祭の会期も半ばになってきました。

まだご覧になっていない方はぜひお出かけください。(ö)