2015-11-27

静嘉堂文庫美術館がリニューアル!

松本では、チラホラですが雪らしきものが舞いましたね。
わかっていたけれど、もう冬が来たのです。あー。

さてさてがらりと話は変わって、日本画ファンにうれしいニュースです。

東京・世田谷の閑静な丘の上にたたずむ静嘉堂文庫美術館
日本画や茶道具、仏教美術の名品を有する美術館としても有名な同館は、これまで約1年半ほどの間閉館していましたが、去る10月末にリニューアルオープン!
それを記念する展覧会の第一弾として、現在「金銀の系譜-宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界-」展が始まっております。

会の見どころは2点。国宝である俵屋宗達の「源氏物語関屋・澪標図屏風」と、重文である尾形光琳の「住之江蒔絵硯箱」です。どちらも長い修理を終えての展示で、修復ポイントもよくわかるよう解説されているのでなかなかおもしろい。

国宝 俵屋宗達「源氏物語関屋・澪標図屏風」(部分)。江戸時代・17世紀
*写真は主催者の許可を得て撮影しています

抱一のこの屏風もお目見え。
コンディションが目を見張るほど良くてびっくりしました。

酒井抱一「波図屏風」(一部)6曲1双 江戸時代1815年頃

ほかにもいろいろな作品が目と心をたのしませてくれます。


最寄り駅が二子玉川だし、そこからバスに乗らなくちゃいけないし……で、なかなかアクセスしづらいところにある静嘉堂文庫美術館ですが、そこまで足を伸ばす価値、おおありです。

会期は12月23日まで。(Ö)

2015-11-18

村上隆の五百羅漢図展@森美術館

東京・六本木の森美術館では現在「村上隆の五百羅漢図展」が開催中。

これがねえ、すごいんですよ。
何がすごいって、サイズと迫力と、作品群からみなぎるむき出しの闘争心。
会場全体に怪気炎が渦巻いているのが見えるくらいの感じ……。
とある芸術雑誌のいち企画から生まれたとは思えないくらい、壮大かつ熱気みなぎる作品の嵐でございます。

手がけはじめてから10年近い年月が経つのに、いまだ未完成だという彫刻作品。

《宇宙の産声》(部分/2005年-)。Courtesy Gagosian Gallery, New York ©2005-2015 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
*写真はすべて主催者の許可を得て撮影しています(が、期間中は誰でも撮影することができます)。

200人を超えるスタッフとともに取り組んだ全長100m(!)の五百羅漢図が今回のメイン作品でございます。
こうしたビッグサイズ作品も、近づいてみると描き込みがとても細密。

《五百羅漢図》(部分/2012年)。個人蔵。The 500 Arhats (detail) 2012 Acrylic on canvas mounted on board 302x10,000cm Private collection ©2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

文字通り血のにじむような作業と苦悩の結果であることがわかり、見ているこちらも脳の温度があがりました。

世界の村上ということで、展覧会前の記者会見にはたくさんの報道陣が詰めかけ、森美術館館長の南條さんも「かつてない人数」と苦笑い。

その記者会見上で今回の挑戦について語った村上さんの言葉も、皮肉と熱を帯びた印象的なものでした。
今回の五百羅漢図は、美術史家の辻惟雄先生からの売り言葉を得ての“買い言葉”的存在だということがわかり、売られた喧嘩を100万倍で返すその姿勢と気迫に、改めて世界で戦う美術家の気概を見た気がします。

会期は来年3月6日まで。(Ö)

2015-11-08

どこが違うでしょう?

さて問題です。
こちらの画像をよ~く見てください。


そして次はこの画像。先ほどと違うところがいくつかあるのですが、わかりますか?


実はこの2つの画像は、東京・新橋の「クリエーションギャラリーG8」で開催中の、ポール・コックス展「ローラースケープ」の展示風景です。

コックスさんは舞台美術なども手がける作家なのですが、
展示されているこれらの絵には舞台の大道具のように車輪がついていて、観覧者が自由に動かせる。
そこで、あをぐみÖが勝手に動かして before → after 写真を撮ってみたわけです。

ついでにもう一問。
この画像と


この画像の違いはどこでしょう? enjoy!


展覧会は11月19日まで。(Ö)


2015-11-05

リアルを生きてる?

フランス・ブルターニュ半島にある小さな村ポン=タヴァン。
かつて多くの芸術家を魅了した、古き良き伝統の残る村です。

そんな村にフォーカスした展覧会が、東京・汐留で開催中。
「ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展」@パナソニック 汐留ミュージアムです。


*写真はすべて主催者の許可を得て撮影しています

全体的に、どことなく不思議で神秘的な雰囲気の漂う作品が多い……。
それはこの村が「総合主義」という新しい芸術主義の発祥の地であることにも関係があるのでした。

総合主義というのは、リアルな世界と想像の世界をひとつの同じキャンバス上に共存させてしまうスタイル。
現実の景色を描いているのにどこか心象風景のようでもあるし、非現実的にも見えるような……そうしたモワモワした感覚を抱かされるのは、そんなところに理由があるようです。


考えてみれば、目の前のリアルな景色が人によって違う風に見える……なんて現象はよくあること。人は、リアルワールドを生きているようで、実は自分だけの世界に生きる存在なのかも。オレの世界はオレだけのもの。

展覧会は12月20日まで開催中。(Ö)