あをぐみが編集とエディトリアルデザインを担当した『もっと知りたいシャネルと20世紀モード』(東京美術刊)が発売中です。
シャネルの生涯を追いながら、その作品はもちろん、同時代のデザイナーや交流のあった人物も取りあげ、20世紀モードを立体的に知ることのできる画期的な一冊となっています。
ファッションやメゾンとしてのシャネルが好きな人や商品の愛用者は、その源泉ガブリエルを知るための絶好の参考書にしていただけそう。そして、芸術から文学から音楽などなど、ありとあらゆる文化の天才たちが戯れる20世紀パリの一端を、ファッションというメガネから見る楽しみも。本書で才能同士の出会いを知るにつけ、天才はひとりで天才になるのではないと、つくづく。”天才スパイラル”みたいな渦にうまく巻き込まれることも必要なのかもしれません。
もっと身近に視点を戻せば、自らのファッションについても考える契機になるかも。洋服が、ただ寒さをしのいだり暑さを避けるだけのものであってはつまらない。かといって、誰かに見せる(見られる)ための”武装”だけでもシンドイ。自分自身を高みにあげつつ自然に生きるためのファッションのあり方についても、この本をデザインしながら思い知らされました。
三菱一号館美術館で「ガブリエル・シャネル展」が開催されるなど、クリエイターとしてのシャネルが大きく取り上げられる機会も多かった2022年。ファッションにフォーカスした展覧会は来年以降も目白押しなので、本書を読むかたわら、いろいろ足を運ぶともっと楽しめるかと思います。(äwö)