松本市内で現在開催中の「マツモト建築芸術祭2023」(〜2月26日)。
あをぐみöが取材した記事がウェブ版のカーサブルータスで見られるので、ぜひご覧ください。
記事では紹介していない“追記”を少々こちらにて。
各作家さんの作品が見どころなのはもちろんですが、その器たる建築そのものの解像度が、作品が入ることで高まること……それもこの芸術祭の真骨頂かと思いました。
たとえば、記事でもご紹介した〈割烹 松本館〉 。
その大広間は、何も展示されていなくてもしつらえだけで圧巻なのですが、福井江太郎のダチョウが入ったことで、天井の鶴までもが生命感をもって迫ってくる。鳥同士で呼び合っているんですかねえ。
展示とはカンケーないけど、1階には「節分」のディスプレイがされていて、それもまた楽しく目を引きました。季節感を大事にする料亭の心くばりが素敵です。
こちらはもともと洋裁店だった六九町の〈旧油三洋裁店〉で見られる、ヨーガン・アクセルバル + amachi.の展示。
廃墟同然だった建てものの解像度が展示でググッとあがり、止まっていた物語が息を吹き返したように思えます。
洋裁店だった頃の名残が、いい感じに展示内容とつながっているし。
こちらは記事では紹介していませんが、止まっていた物語が今とつながる例として、〈上土シネマ〉での河合政之さんの展示もいい。
写真は本人パフォーマンスのものですが、通常の展示では、2階のスクリーンに色と音だけの映像が延々と流れています。
作家本人の意図とは違うöの個人的見解ですが、ボーッと色だけの映像をみていると、この映画館が閉館までずっと流してきた歴代の映画が渾然と凝縮して流れているかのような錯覚にとらわれ、ちょっと感傷的にもなりました。
芸術祭の会期も半ばになってきました。
まだご覧になっていない方はぜひお出かけください。(ö)