2011-10-06
にぎらないおにぎり
Öがいま滞在しているヘルシンキを舞台にした、
「かもめ食堂」という映画を見た時、
特におにぎりにまつわるエピソードが印象に残りました。
日本人なら、ほとんどの人がおにぎり話をもってるのでは?
うれしかったり、悲しかったり、おいしかったり、まずかったり・・・。
話は変わりますが、
ときどき過去の仕事を人にみせる機会があるのですが、
そんななかで、「エコじゃないし、無駄だよね」と言われたものがありました。
それは本の仕事だったのですが、普通のつくりではなく、
全ページを袋とじにデザインしたもの。
独特のふっくらした仕上がりになり、
僕としてはいまでも気に入っている仕事の一つです。
確かにこのつくりだと、普通なら半分の大きさで済む紙が、
倍の大きさ必要になってしまいます。
相手は、そういう意味で「紙の無駄だ」とおっしゃりたかったのだと思います。
考え方によってはその通りかもしれません。
ここで話をおにぎりに戻しますが、
では、おにぎりをにぎるのは無駄な作業でしょうか?
茶碗に盛られたごはんと、それをにぎったおにぎり。
素材は変わらないわけで、味覚のうえではほとんど同じでしょう。
では、気持ちを込めてにぎられたおにぎりはどうでしょうか?
個人的な印象で話しますが、にぎっている分おにぎりの方が、
相手がより自分のことを思ってくれているような気がします。
僕は、必要に応じて装飾するのも、
その逆に装飾しないのも、同じくデザインだと思ってます。
資源や効率の無駄はできるだけ省くべきですが、
自分にとって必要ないものがすべて、他の人にとっても無駄とは限らない。
同じデザインをするなら、効率良く情報を伝えるだけよりも、
それを受け取った人が、にっこりできるようなものがいい。
おにぎりを握った人の気持ちを思って、食べる人がにっこりする。
そういうことって、デザインでも同様にあると思うのです。
なんてことを考えながら、松本で留守番中のÄは、
place by awo で取り扱う商品のパッケージなどを、
デザインしているのでした。(Ä)