これまで文学誌やムックの類をほとんど読んでこなかったのだけど、たまには、と手に取ったのがこちら。去年の春に創刊したばかりだそうです。
2021-02-22
あをぐみÖの読書日記「文学ムック ことばと VOL.1」
2021-02-10
ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス@金沢21世紀美術館
タイトルのとおり2人の美術家による展覧会ですが、これまで一緒にやってきたとかコラボの機会が多かったわけではなく、意外にも接点はないんだそうで……ではなぜこの組み合わせ? オランダとベルギーで出身国も違うし、主に彫刻で表現するマンダースと、絵画のボレマンスとではメディアも違う。ふーむ。。
ともあれ、この展覧会のだいぶ以前から、ボレマンスファンのあをぐみÖ。実はパソコンの壁紙は彼の絵画なのです。ふふ。そういうわけでその作品が見られる機会を見逃すまいと、早速GO!
2021-02-04
2021-01-16
あをぐみÖの読書日記「むらさきのスカートの女」
2021-01-06
10年めー
2020-12-27
街を言葉にすること。「街歩きエッセイ講座」
「美しい景観に対する意識の高揚と、良好な景観形成に向けた市民のまちづくり活動の推進を図るため」(役所らしい文章ですなあ)に、松本市が年に1回開催している『景観賞』。そのスピンオフ企画としてはじまった「街歩きエッセイ講座」を、あをぐみÖが担当しています。
どんなことをするのかというと、まずは街歩き。2時間ほど市街地を歩いて好きな景色やまちなみを撮影し、その写真を添えたエッセイを書いて発表するわけです。景観賞への応募促進を目論んで例年は初夏に行っていたのですが、今年はコロナのため延期。中止も危ぶまれましたが、なんとか半年遅れの12月に実施できました。
2020-12-20
GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ@すみだ北斎美術館
日本といえば「フジヤマ・ゲイシャ」だった時代はとっくに終わり、今や「アニメ・マンガ」、その後に「スシ」といったところでしょうか……。で、そのマンガの変遷を、江戸時代の浮世絵版画からじっくりたっぷり見られるのが、この展覧会です。
2020-12-13
舟越 桂 私の中にある泉@渋谷区立松濤美術館
一瞬で人心をつかんでしまう舟越さんの彫刻像。先ごろ渋谷で始まったこの展覧会では、どうやってその唯一無二性が育まれていったのかの手がかりが得られます。まだ学生の頃に手掛けた試作から新作までが時系列で見られるうえ、鑿を持つ前に何度も描くというドローイングや、書き留められたメモといった、作品の源泉に迫るような資料的展示が多々。芸術一家である舟越家のほかのメンバーによるデッサンなども、興味深いものでした。やはり人は一人で立っているわけではないし、ひとりでに自分に成っていくわけでもないのだと、しみじみ。
大理石の目を入れる契機となった試作のマスクも興味深い一品。目をもつと、作品自身から”意思”みたいなものが発せられるようです。焦点はあっていないし、どこか虚な感じもする”目”。でも、入っているといないとでは段違いでした。
2020-12-07
琳派と印象派@アーティゾン美術館
2020-11-28
石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか@東京都現代美術館
石岡さんといえば、真っ先に思い浮かぶのがターセム・シン監督の映画です、個人的には。数作品あるけど、やはり『落下の王国』(これはÖが愛するベストムービー)。石岡作品がシン監督の世界観をより強固にしていて、ホントため息もの。展覧会では壁一面に映像が投影されていて、迫力満点でした。プロダクションの倒産で作品が見られないのが心底悔しいわ。
とはいえ映画衣装は石岡作品のほんの一端に過ぎず、ポスターや書籍などのグラフィックにはじまり、オペラ、演劇、サーカス、ミュージック・ビデオ、オリンピックのプロジェクトなどなど、作品の幅広さとメジャー度が圧倒的。一人の人間がこれほど多岐のプロジェクトにかかわり、そのすべてにおいて高いクオリティで答えを出していることに唖然とするほどです。そりゃあもう、見ているうちに冷や汗をかくくらいの。
写真はビョークとのコラボ作品の部屋(主催者の許可を得て撮影しています)。
展覧会情報はこちら。会期:~2021年2/14
休:月曜(1/11は開館)、12/28~2021年1/1、1/12
観覧料:当日一般¥1,800ほか
2020-07-28
別冊太陽 五味太郎
2020-06-18
福島県観光物産館:久保修さんのお土産袋
以前のブログでもご紹介した、切り絵画家の久保修さん。作品集『久保修 切り絵画家の半生』(淡交社刊)のデザインをあをぐみが担当したご縁で、福島県観光物産館のお土産袋のデザインも、引き続きお手伝いさせていただきました。
紙袋6種類、ビニール袋9種類、包装紙の全16種類……こうしてみるとけっこうなボリュームですね。福島県の地域にちなんで制作された久保さんの切り絵7作を組み合わせながら、最適のかたちでデザインしていきました。地元の新聞「福島民報」にデザインモチーフが詳しく掲載されたので、そちらもぜひご覧ください。
お土産を買う楽しみに加え、買ったお土産のサイズに合わせ、久保さんの作品を集める楽しみも生まれるようにと、できるだけデザインが重複しないようにしてあります。
とっておきたくなるような袋をデザインすることが、結果的に資源を無駄にしないことにつながるんじゃないかなあと願いつつ。
福島県観光物産館にはしばらくの間、久保さんの作品が展示されているため、訪れる楽しみがあります。全国的に言えることですが、自粛要請によって観光業界はかなりのダメージを受けているので、この久保さんの紙袋が福島の観光を盛りあげることにつながるとうれしいです。(ä)
2020-06-03
あをぐみÖの読書日記「皮膚と心」
こうなったらあれを読むしかない! と思って引っ張り出してきたのが太宰治でありました。その名も「皮膚と心」。皮膚病をわずらっちゃった女性の独白調による短編です。
まあ、なんと言うか甘い。「おぬし、甘いのう」の「甘い」ではなく、スウィートな甘さです。恋に恋すると同様に、悩みに恋する女性のとめどなく流れる感情の渦。苦悩に淫している感じが甘さを醸します。「皮膚病を患った女」という意味では主人公と同じ立場ですが、まあ、なんと言うかわたしとは十億光年くらいの距離感がある、心理的に。……と一瞬思ったものの、感情の内容はともかく、何か非日常的(ネガティブ)なことに出くわし、くよくよと感情の渦に飲み込まれていくのは、実は同じかもしれない。
主人公の場合、その感情が「女であることの因果」みたいなところにまでどっぷり堕ちていきます。その極みが、終わりの方で発射される「プロステチウト」発言。でたな、カタカナ一言爆弾。『三四郎』におけるストレイシープ(これも女性(みねこ)の発言ですね)同様、くさびのように心に撃ち込まれる威力のある単語です(意味は。。。調べてみてください)。どんな”おたふくのおばあさん”(主人公、28歳なんですけどね)でも、女は女。醜い皮膚病は、唯一のよすがを奪われる残酷な仕打ち。残った道は堕落か自殺か、というところまで思考が進みます。「健全な体に健全な魂」というけれど、逆も真なり、なのかも。ため息。
ネガティブに陥る自分を客観的に見せてもらった気がして、正気に戻るきっかけをつかみました。おかげさまで。やはり本は効くなあ。
ところで、女性の苦悩とは全く別の次元で、今回この短編を身近に思えた発見がひとつ。主人公の夫がデザイナーなんですよ。そうだったっけ? 昔読んだ時にはスルーしてました。とても気に入っていた図案を、まさか自分の夫が手がけていたとは、と気づいたときの女性の描写。このあたりに今回はキュンときました。はは。
ちなみにこの短編、新潮文庫の短編集『きりぎりす』に収録されています。写真はかつてあをぐみがデザインした「別冊太陽 太宰治」。
ああ、もうすぐ桜桃忌ですね。(ö)
2020-05-11
あをぐみÖの読書日記
もともとこもり気味の生活を送っているため、パンデミック下で様相が大きく変わったりはしてないのですが、漠然とした不自由や重い空気に包まれ、真綿で首を絞められているような今日この頃。
そこで、この本を読んでみた。自分の不安を他人の不安で上塗りしてやろうというわけです。毒を持って毒を制す的な?
不安の書【増補版】
Livro do Desassossego
発行:彩流社
著者:フェルナンド・ペソア
訳者:高橋 都彦
前情報なくタイトルと装丁で選んだ一冊ですが、これがまあ、今の空気感にぴったりそぐう一冊で、我ながら選書力の高さに苦笑。
情報によれば、ポルトガルの詩人・ペソア最大の傑作とされる『不安の書』の完訳であり、”待望の復刊!”とのこと。日記のようにも、創作のようにも、詩のようにも感じられる不定の断章で構成されています。
読みはじめてすぐ、「よくもここまで不安にかられ”られる”ものだ」と感心。日記のようではあるけれども、飽きもせず毎日ぼやき、つぶやき、うめき、世を呪う。……そういう断片が延々と続く(結構分厚く、600ページ超)わけで、早々に投げ出したくなりそうになったのだけど、そこはさすが詩人。漠然とした不安をつぶやくために操る言葉の数々は見事に多彩で、それがまた逆に呆れるというか……。
読めば読むほど訳者の根気とご苦労が思われ、高く尊敬の念を抱きます、マジで。
で、気付いたのですが、この本に正しい読み方があるとすれば、気が向いた時にパッと開いたページを”啓示”として受け取ることかも。「今日の星占い」的な感じで読む、「今日の不安」。そう思うといろいろな言葉(不安)との出会いが断然楽しくなる。
以下、2、3の短いフレーズを抜粋。
わたしは道徳を守りつつも善いことをしないが、わたしに善いことをしてくれとも要求しない。
(共感~!)
わたしの理想はすべてを小説で体験し、実生活で休息する。
(これも共感。バーチャルに生きる幸せと閉塞)
支配するには感性に欠けている必要がある。
(例として挙げられているのは政治家、司令官のほか、美しい女性。。。こういうユーモアは、ペソアの武器のひとつだと思う)
今後もそのやりかたで、この分厚い一冊を、パンデミック収束までの羅針盤として活用していきたいと思います。どんな珠玉のぼやきに出会えるかしら、ワクワク。毒はやはり毒に効くらしい。(Ö)
2020-03-18
もっと知りたい浮世絵
あをぐみが編集とエディトリアルデザインを担当した『もっと知りたい浮世』(東京美術刊)が発売中です。
これまでも浮世絵にまつわる本は、何度もデザインしてきました。でもよくよく思い出してみると、幕末や近代の版画家のものが多く「浮世絵」そのものを主題とした本を担当するのは、意外にも今回がはじめてでした。
知っていたようで知らなかったことも多く、デザインしながらあらためて学び直せて、あをぐみにとってもためになる一冊になりました。
今現在、美術館も臨時休館中のところも多く、美術ファンのひとりとしても心が痛みます。
本書にかぎらず今までデザインしてきた、そしてこれからもデザインしていく本たちが、紙面を通じて美術を楽しむことや、手にしただれかの心を明るくすることに一役担えたらさいわいです。(äwö)