だいぶキャラの異なるスクール同士を組み合わせたなあと、興味津々で出かけた展覧会。時代をみても、琳派は宗達の時代を含めれば1600年前後からで、印象派はモネの《印象、日の出》が描かれたのが1873年と、2、300年近く違うし……。
(写真は以下、すべて主催者の許可を得て撮影しています)
で、やはり最初は違和感。浮世絵ほど線的ではないものの、平面的で装飾的な琳派と、題材は身近で、光で見え方の変わる様を捉えようとした印象派とが、どうにも同じ空間に納まらない気がしたのです。
でも、この展覧会のキーワードが「都市文化」だと知ってからは(サブタイトルになってた…)眼鏡が変わったかのように見える世界が変わりました。なるほど、京都で興り江戸に続いた琳派と、パリで生まれた印象派は、同じ都市文化という土壌に咲く花なわけだ。限られた人しか享受できなかった琳派と、ギャラリーなどで衆目を驚かせ楽しませた印象派とを全く同じには論じられないものの、「大都市ならではの洗練された美意識の到達点(同展サイトより)」と考えると、相違さえ楽しく立ちあがってきます。
ところで、この展覧会は主に同館のコレクションで構成されていますが、所蔵品をどう斬るかって、その美術館(の学芸員)のセンスですねー。作品数に限りがあり、人気作ばかり出しても飽きられる……あまたの制約のもとでいかに面白い視点を与えられるか……なかなかの難問です。だからこそ琳派と印象派という一見相容れないものを並べ、鮮やかに見直させるのは編集の妙であり、あをぐみÖ的にも学ぶところ大でした。
そうそう、この展覧会で初お目見したアーティゾンの新所蔵品、尾形光琳の《孔雀立葵図屛風》(重要文化財)は MUST SEE!(ö)
展覧会情報はこちら。
会期:~2021年1/24
休:月曜(1/11は開館)、12/28~1/4、1/12
観覧料:当日一般¥1,700ほか