東京・六本木の森美術館では現在
「村上隆の五百羅漢図展」が開催中。
これがねえ、すごいんですよ。
何がすごいって、サイズと迫力と、作品群からみなぎるむき出しの闘争心。
会場全体に怪気炎が渦巻いているのが見えるくらいの感じ……。
とある芸術雑誌のいち企画から生まれたとは思えないくらい、壮大かつ熱気みなぎる作品の嵐でございます。
手がけはじめてから10年近い年月が経つのに、いまだ未完成だという彫刻作品。
《宇宙の産声》(部分/2005年-)。Courtesy Gagosian Gallery, New York ©2005-2015 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
*写真はすべて主催者の許可を得て撮影しています(が、期間中は誰でも撮影することができます)。
200人を超えるスタッフとともに取り組んだ全長100m(!)の五百羅漢図が今回のメイン作品でございます。
こうしたビッグサイズ作品も、近づいてみると描き込みがとても細密。
《五百羅漢図》(部分/2012年)。個人蔵。The 500 Arhats (detail) 2012 Acrylic on canvas mounted on board 302x10,000cm Private collection ©2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
文字通り血のにじむような作業と苦悩の結果であることがわかり、見ているこちらも脳の温度があがりました。
世界の村上ということで、展覧会前の記者会見にはたくさんの報道陣が詰めかけ、森美術館館長の南條さんも「かつてない人数」と苦笑い。
その記者会見上で今回の挑戦について語った村上さんの言葉も、皮肉と熱を帯びた印象的なものでした。
今回の五百羅漢図は、美術史家の辻惟雄先生からの売り言葉を得ての“買い言葉”的存在だということがわかり、売られた喧嘩を100万倍で返すその姿勢と気迫に、改めて世界で戦う美術家の気概を見た気がします。
会期は来年3月6日まで。(Ö)