2012-10-31

舞台芸術の祭典、はじまる -2


昨日もブログでお伝えしたとおり、
2つのプログラムを見てきました。

2つめは池袋の東京芸術劇場で行われた


ハンガリーの演出家、アールパード・シリング率いるクレタクールが、
2011年に発表した『危機三部作』うちの“第三部”です。

と、その前にホールに入ろうとしたら、
劇場の広々としたロビー空間で、何やらいきなり
たくさんの人が踊りだすというパフォーマンスが展開中。


これも『フェスティバル・トーキョー』の一環でしょうか。
見る人も踊っている人もやけに楽しそう。

さてさて、『女司祭』の話に戻ります。

この作品は、映画、オペラ、演劇と
異なる形式を使って現実の問題にアクセスする、
実験的な企画のひとつ。

第一部がオペラで、第二部は映画、
そしてこの第三部『女司祭』は、都会育ちの女優が演劇教師となり、
民族問題に揺れる田舎町に赴任したことから起きる波紋を描いた演劇作品でした。

演劇なんだから、客席にどっかり座って傍観していればいいと思いきや、
途中でいきなり生徒役の子どもから客席に
「あなたはどう思いますか?」という
問いかけが飛んできたりしてドキッとした〜。

教室でウトウトしていて
先生に「この問題に答えなさい」と
いきなり指された時の気分を思いだしました。

後で知ったのですが、こうしたまっすぐな問いこそが、
クレタクールのスタイルなんだそうです。

これから見る人もいるかと思うので、
ネタバレ的なことはしませんが、
主題はとっても古典的(王道的)で、
過去に同じテーマで撮られた映画もいくつか知っています。
でもやはり、演劇として生で展開されている分、問いかけが鋭い気がする。
役者からダイレクトに質問されるということも、
その鋭さに磨きをかけていると思いました。

『フェスティバル トーキョー2012』はまだ始まったばかりなので、
これからもいろいろなプログラムが控えています。
演劇好き・舞台芸術好きならず、
世界で起きていることを直に見ておきたいと思う時代性の高い人には
ぜひおすすめしたいイベントでした。(Ö)