2019-02-25

小原古邨 花咲き鳥歌う紙上の楽園

あをぐみが編集とエディトリアルデザインを担当した『小原古邨 花咲き鳥歌う紙上の楽園』(東京美術刊)が発売中です。


この書籍は、東京・原宿の太田記念美術館で3月24日まで開催されている「小原古邨」展の展覧会カタログも兼ねています。


古邨の版画(浮世絵)のモチーフの多くは鳥。この本をデザインしはじめると、窓越しや街なかで見かける鳥が、以前にもまして気になるようになりました。スズメやムクドリと思っていた鳥が、よくよく見るとまったく違っていたりして、見ているようでぜんぜん観ていなかったんだなあと、つくづく気がつかされます。取り壊されて今はなくなってしまった旧あをぐみ社屋のに庭の木にも、メジロがよく来ていたっけ。
……と気になるようになったのには理由があって、実はこの古邨本、鳥によりフォーカスしたいという意図で、ちょっとばかり鳥類図鑑にも近いつくりを意識しつつ編集しているのです。描かれた鳥の学名とか特徴もわかるので、鳥好きもぜひご一読を。

鳥を見る目を養うのはもちろん(笑)、浮世絵表現の先鋭さや繊細さにも気づかされる一冊。書店などで見かけた際はお手にとってご覧ください。そういえば古邨についての番組が、Eテレ「日曜美術館」で来週末に再放送されます。合わせてそちらもご覧いただくと、さらに古邨がよくわかるかもしれません。(äwö)

2019-02-22

別冊太陽 フリーア美術館 アメリカが出会った日本美術の至宝

あをぐみがエディトリアルデザインを担当した『別冊太陽 フリーア美術館 アメリカが出会った日本美術の至宝』(別冊太陽 日本のこころ 269/平凡社刊)が発売中です。


絵画を迫力の大きさで見られる「片観音」に加え、さらにどーんと大きく開く「両観音開き」もあるなどつくりも豪華。見応えのある一冊に仕上がりました。

ところでフリーア美術館というのは、アメリカの首都ワシントンD.C.にある美術館。アジア美術のコレクションがすごく充実していて、日本美術も、国宝級ともいわれる名品がずらりと所蔵されています。しかもその全てが門外不出のため、日本でそのコレクションを観ることは、まずできない……。というわけで疑似的ではあるけれど、数々の作品を堪能できる今回の別冊太陽は、貴重な一冊ということになります。

おもしろいのは、たった1館のコレクションを紹介しているだけなのに、この一冊で日本美術の大きな枠組みや流れ、人気作家などがだいたいつかめるところ。何しろおよそ2000点もの日本美術作品があることに加え、時代やジャンル(絵画、屏風、陶磁器など)を含め網羅的に集められていることにも理由がありそうです。日本美術に興味をもちはじめた人への入門書としてもおすすめ。

フェノロサや原三渓とも交流があった実業家・フーリアによる日本美術コレクションをまとめた充実の一冊。俵屋宗達から北斎などなどオールスターズ総出演といった豪華さも魅力です。一家に一冊!(ä)

2019-02-16

レーピンとロシア近代絵画の煌めき

あをぐみがエディトリアルデザインを担当した『レーピンとロシア近代絵画の煌めき』(東京美術刊)が発売中です。


表紙絵は、イリヤー・エフィーモヴィチ・レーピンが妻を描いた作品《休息》で、あま〜い雰囲気になっています。が、中では力強くドラマチックな作品も多く紹介されていて、見ごたえ抜群。筆致は濃厚ながら田舎の暮らしを描くなどした素朴なテーマの作品も多く、ロシア近代絵画の魅力が満載されています。たくさんの作家が登場することもあり、ロシア近代絵画を知るにはもってこいの一冊に。

実際に作品をご覧いただいた人もいるかもしれませんが、1月27日までBunkamura ザ・ミュージアム でも「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア」展が開催されていました。今後は、岡山、山形、愛媛と巡回されるようなので、お近くの人はぜひ足をお運びください。

ちょっと話しは変わりますが、先日、丸善松本店に立ち寄ったら、今回紹介のロシア近代絵画や、以前紹介した「もっと知りたいボナール」も含め、美術書コーナーにあをぐみがデザインした本が増えてきてうれしくなりました。どの書店でも自分たちが担当した本を見つけるのはうれしいですが、近所となると格別です(笑)。ぜひ手にとってご覧ください。(ä)

2019-02-10

まつもと車椅子マップ

「世界健康首都会議」という世界的なイベントが、毎年松本で行われていることをご存知でしょうか? 

世界各国から識者が集まり、活動や研究の成果発表をしたり、セミナーや勉強会を開く2日間のイベントですが、その首都会議関連事業のひとつに、ここ4、5年続けて活動してきた「健康先進都市ゼミナール」があります。

そのゼミでは毎年、松本市民はもちろん、経済産業省の職員や大手広告代理店社員などが参加してワークショップを開催。「暮らすだけで健康になる街」があるのか、あるとしたらどういう街なのかなどを、班ごとにさまざまな切り口で考えてきました。

とはいえ、これまでは具体的な政策や成果物に結びついてこなかったため、今回こそは何か形に仕上げようと試行錯誤。その結果ひとつの班が、車椅子の人でも楽しく街を回れる「街歩きマップ」を企画し、その実現に向け、車椅子ユーザーやベビーカーのお母さんも含めたさまざまな人とともに、街歩きを重ねるなどしてきました。

そうしてできた成果物がこちらのマップです。




表紙をご覧になってわかるとおり、車椅子ユーザーでも街歩きが楽しめるという意図に沿ってつくられたマップで、デザインはあをぐみが担当しました。

A面は松本駅から歩いて楽しめる範囲を網羅したマップ。裏では、その制作のために行った街歩きの様子などをレポートしています。今なら観光案内所などで手に入るので、気になった方はぜひ問い合わせてみてください。

なお、あをぐみはデザインも担当しましたが、実はその立案から参加。ワークショップのファシリテーターもさせていただきました。この企画の原風景となっているのは、あをぐみがかつてオランダ・アムステルダムで見かけた、楽しそうにレコードショップでひとりレコードを探している車椅子ユーザーの若者の姿です。日本では車椅子の人が一人で出かけているところをほとんど見たことがなかったので、あれはうれしいショックでした。その風景がこのマップの原点なのです。

歩いて楽しい松本。せっかくなのでどんな人も街歩きをもっと楽しみましょう。……今は寒いけど。(äwö)

2019-02-04

チャオ! バンビーニ 2018

2018年後半は忙しすぎて、ほどよいタイミングでブログを更新することが叶いませんでした。2019年こそ、きちんとしていきたい気持ちはありますが、どうなることか・・・さて。

というわけでだいぶ遅れての紹介となりますが、まつもと市民芸術館で開催された「チャオ! バンビーニ」のチラシとポスターのデザインを、昨年もあをぐみが担当しました。



今回は主ホールが工事中のため、いつもとは趣向を変えたスタイルに。それが〈ネコ〉をテーマにした番外編「ニャオ! バンビーニ」でした。というわけで、ロゴも「お魚くわえた野良猫♫」気分。猫が「チ」の字からタテ棒をかすめとって「二」にしてしまった〜という感じにしています。

思い返せば、まつもと市民芸術館からの依頼で最初に担当させていただいたポスターが、TCアルプ『ネコの星』。2012年のことなので、もう7年も前になります。。光陰矢の如し。まあそんな経緯もあり、あをぐみとしても「ネコ」のモチーフにはとっても思い入れがあるわけで、その時の『ネコの星』では、あをぐみの一員でもあるネコのらいじんがメインビジュアルとなり、ちゃっかり舞台上でもそのビジュアルを使っていただきました。

そして今回のニャオ! 。ここでは同じくあをぐみの一員(いちネコ?)である、そうたつがドーンと登場。あをぐみ的にはセルフ・パロディのようなアイデアでもあるわけです。
人懐っこい性格なので、取材などのたびに写真におさまるくせに、なぜか採用されなかった悲しきネコそうたつ。しかしついに日の目を見たわけですねえ、感慨深い。顔、半分しか登場しないけどね(笑)。(äwö)