2017-07-13

『川瀬巴水 決定版 日本の面影を旅する』(別冊太陽 日本のこころ 252/平凡社刊)

あをぐみがエディトリアルデザインを担当した
『川瀬巴水 決定版 日本の面影を旅する』(別冊太陽 日本のこころ 252/平凡社刊)が、発売になりました。


タイトルに「決定版」とうたっているとおり、充実した内容の一冊に仕上がっています。

ところで川瀬巴水は「かわせ・はすい」と読み、大正から昭和にかけて活躍した木版画家です。

木版画といっても近代……特に昭和初期に主流となった抽象版画ではなく、もっと古い時代にポピュラーだった「浮世絵」の流れに属する作家。とはいえ、北斎とか歌麿のようなドラマチックな浮世絵とはまた違い、巴水の作品は、淡々と風景が描写されているものがほとんどです。でもそのなかに何か物語を想像させる力が宿っているんですよね〜。

個人的には夜景の作品がとても気になりました。「闇(または光)」を描くために「光(または闇)」をどうとらえるかという創意工夫にしびれます。

もし印刷好きだったら、摺りの順番を紹介したページに驚き!のはず。掲載した「若狭……久出の濱」は、なんと34色刷り。どうやって色に深みをもたらすかのヒントが山盛りです。ぜひ、手に取ってまじまじと巴水ワールドを堪能していただきたい。

そう言えば、先日立ち寄った東京国立博物館の常設展に、本誌にも掲載されている10作品が展示されていました。いつまで展示されているかわかりませんが、ご興味のあるかたはぜひそちらへも足を運んでみてください。(Ä)