2024-09-19

ダリ作品集

あをぐみが編集とエディトリアルデザインを担当した『ダリ作品集』(東京美術刊)が発売中です。


1924年にアンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表してから100年という今年、ダリの作品集を手掛ける機会をいただけて嬉しい限りです。 


しかしダリ……たくさんの仮面を被った全身芸術家で、既刊本も多い……2024年の今われわれが作品集をつくるなら「これだ!」、というものにしなければ意味がないため、なかなかの難問です。


ダリに限らずですが、作品集や写真集のデザインで頭を悩ますのが、絵画作品を「本」というメディアに、「印刷」という表現でどう定着させるかという問題。というのも印刷物は、どんなにがんばっても絵画を完璧に表現できるわけではないので、「本物を観に行くのが一番」と言われてしまったら、ぐうの音もでません。


そのため、作品の紙上再現を目指すのではなく、“作品集ならではのおたのしみ”を提供することに頭を切り替える。

つまり、“作品集を見ること=エンタメ”として、どう楽しんでもらうかを考え、デザインしていくことになります。


今回は、大判であることを活かし、ダリの絵がどーんと大きく見える工夫をしたため、大半の作品解説は後ろにまとまっています。

それらのテキスト内容もかなりご期待いただきたいところ。1人の著者による論考ではなく、監修の松田健児さんを筆頭に、気鋭の研究者チームにご執筆いただいているのです。各人の筆致の違いもマニアックな楽しみ方のひとつかと。


大判で見応えも読み応えもある本に仕上がりましたので、ぜひ手に取ってお楽しみください。(äwö)